ダウン症青年の社会的自立について

宮本 文雄(東日本国際大学福祉環境学部) f_miyamito@tonichi-kokusai-u.ac.jp

〇ダウン症児のA君の事例

<対象者>3歳当時、言葉によるコミュニケーションが可能な幼児であった。今後の療育ということで、月1回程度の頻度で相談を実施してきた。
<幼稚園時代>統合保育ということで、近所の子どもと一緒に登園する。
<小学校時代)地域の小学校に進学する。当時、特殊教育の時代であり、保護者は学校選びに苦労をする。幼稚園時代の友達と通学する。そして、クラスの担任の先生に特別に配慮してもらう。
<中学校、高校時代>卒業後のことを考えて、特別支援学校に進学する。小学校の時と同様、保護者は学校選択に苦労する。
<卒業後>企業に一般就労する。10年間、無遅刻、未欠勤で会社から表彰される。会社より、勤務内容の配慮、配属部署の配慮をしてもらう。しかし、A君が通勤することに対して、保護者のサポートが大切であった。
<現在の課題>これまで、両親と一緒に住んできたが、親亡き後のことを考えると、これから一人で自立して、一人住まいをしていく必要がでてくる。しかし、本人は、現在、親元での生活を希望している。アパートを借りて、一人で生活いていく考えはもっていない。

上記の事例のように、ライフイベントの中でどのような進路を取り、どのように生きていくのかという問題に関心があります。

〇福祉心理学について

福祉心理学は相談・支援の心理学と考えています。そして、福祉サービスを利用している人、そして、その人を取り巻いている人が対象となります。相談・支援の中心は、その人の生活(よりよく生きること)ということとなります。一人ひとりの人が手持ちの力を使って生きていくことを相談・支援していく人が、福祉心理士と考えております。

〇宮本文雄先生のプロフィール:専門知的障害児の教育・指導法(ライフステージを考慮して)について。

福祉心理士の養成について。知的障害児の保育・教育に携わっておりました。その後、教員養成、社会福祉士養成の仕事を行っております。日本福祉心理学会では福祉心理士資格の認定業務をさせていただいております。福祉心理士の専門性向上の仕事をしていきたいと考えております。

Posted in No.2(2015年12月30日), ニューズレター