東北薬科大学 杉山 雅宏

研究室にて
東北薬科大学薬学部 心理学教室
准教授   杉山 雅宏 

   私は、学校カウンセリング、特に、不登校やそこから派生する高校中途退学予防ための心理教育的支援に関する、実践的研究を主に行っている。さらに、教育・臨床現場での実践上の課題(講義で実践する学生支援、キャリア教育への学生相談活動の関わり方、公務員に対するメンタルヘルス1次予防推進上の課題)等について、コミュニケーション能力の開発やカウンセリング・スキルを切り口とした課題解決を図るべく、実践的研究も行っている。

1.教育実践
   教室研究では、将来、薬剤士等の業務で活かせる臨床心理学的知識・発想・姿勢を身に着けていただくため、臨床心理学の理論と方法の基礎的内容を学ぶ目的とした講義を提供している。それだけでなく、カウンセラーという立場から、他者の気持ち理解・共感し、自分の気持ちを伝えていく力を養う支援も重要であると考え、“10分間ミニ学生相談”を講義で実践している(詳細は「講義のなかで実践できる学生支援を模索して」東北薬科大学一般教育関係論集26号参照)。学生からすべての質問に10分間で回答し、“わかろうとする”気持ちを学生と共に学んでいる。

2.臨床実践
(1)学生相談による学生支援(本学保健管理センターにおける心理相談)
(2)公務員のメンタルヘルス支援(相談室で“待つ”のではなく“仕掛けるカウンセリング”の実践)
(3)電話相談(震災被災者支援・子育て支援等)
(4)ピア・サポートグループ育成支援
     ⇒一般市民を対象に“カウンセリングによる仲間作り”を実践。成果や結果にとらわれない人とのつながりの必要性をカウンセリング・スキルというツールを活用し伝えている。

3.フィールドワーク
  サポート校等に在籍する中途退学者の声を分析し、高校中途退学予防のための心理的支援策を模索してきた。最近は、いじめ加害者へのカウンセリングに関心を持ち「どうしていじめられるのか」から「なぜいじめるのか」へシフトし、教育のなかで実践可能ないじめ対策を模索している。

4.最近の研究業績
<著者(単著)>
(1) 『現代こころ病考』  東京六法出版(2012年10月)
(2) 『ほっと心標』        東京六法出版(2013年4月)
(3) 『こころWin  Win チェック』  東京六法出版(2013年9月)

<論文>
(1)高校中途退学者の本音―中途退学予防のための心理的支援具体化の方向性を模索して―福祉心理学研究第6巻第1号 52-60 2010年
(2)高等学校におけるいじめ被害者といじめ加害者双方への支援―いじめを考え、いじめに向き合う新たな実践―日本保健医療行動科学会年報 Vol.26 169-178 2011年
(3)通信制高等学校における電話支援の必要性 電話相談学研究Vol.20 NO.2 18-27 2011年
(4)高等学校中途退学予防のための授業作りに関する一考察 人間文化研究所紀要(東京家政大学)第6集 13-24 2012年
(5)中途退学者の語りに関する分析研究 社会福祉科学研究 第2号 49-58 2013年

 

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